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メロディに対するコード進行の付け方例|作曲・アレンジ [JUNの独り言]

メロディのある曲を作曲する場合、大きく分けて二つの手法があると思います。一つはメロディを作り、それに合わせてコードを付けていく。もう一つはコード進行を作り、それに合わせてメロディを乗せていく。

私の場合、メロディを作るのが苦手なのでどうしても後者寄りになるのですが、「作曲=メロディ」という印象を私は持っている為、なんとなく負い目があります。

最近ではコード進行のパターン集といった書籍も出版されていることより、コード進行先行の曲作りも悪くないのかもしれませんが、ここでは前者寄りの曲作りについて考えてみようと思います。

ただ、メロディ先行の曲作りの場合、コードも同時につけてしまう、またはバス(ベース)だけは一緒に考えてしまう(というよりセットで出来上がってしまう)といった方が多いようです。

この記事ではちょっと主旨を変えまして、曲作りというより、メロディに対してどんなコードの付け方が考えられるのかということにスポットを当ててみます。

音楽理論の有用性

以前、『曲作りに音楽理論はいらない?それとも必要?』という記事を投稿し、そこでは、

音楽理論を知らなくてもカッコいい曲はできると思いますが、知っていると楽曲を分析(アナライズ)することができる点で便利。

と書きました。

センスでコード進行を作っていくことは十分可能だと思いますので、コード先行の場合は音楽理論を知らなくても曲作りを進められると思います。

一方で、メロディにコードをつける場合には、ある程度音楽理論を知っていた方が上手くいくケースが多いと思います。

例えば、市販のコード進行定番集(ネタ帳)などを購入したとしまして、12のキー(調)すべてで書かれている書籍はほとんどないと思います。

調号のないハ長調(Cメジャー)、イ短調(Aマイナー)を例として書かれている書籍が多いと思いますので、与えられたメロディに対して何のキーでコードを付けていくのかというところで、その変換(移調)ができないと行き詰ってしまいます。
(コード進行に関してはディグリーネームで表記されることもありますので、これを知っているとどのキーでも対応できるようになると思います。)

また、メロディとコード構成音の関係性も音楽理論を知っているとわかりますし、上記のとおり

・○○さん(アーティスト)みたいなコード進行を付けたい
・△△風(JAZZ風など)のコード進行を付けたい

といった場合に、既存曲のアナライズができることは強みになります。

参考例を紹介します

さて、コード進行に関する教本などを見ますと、ダイアトニックコードの説明から始まり、それぞれT(トニック)、SD(サブドミナント)、D(ドミナント)に機能分けされ、更にセカンダリードミナントや同主短調からの借用和音といったノンダイアトニックコードに触れられていく流れが一般的かと思います。

こういったコード進行の決まり(規則)や禁則を知ることは、組み立てていく上でとても参考になります。

今はコード進行を含めた音楽理論に関する教本がたくさん出版されており、またインターネット上にもわかりやすく説明されたサイトがたくさんありますので、この記事ではそういった説明は省かせていただき、記事タイトルのとおり“例”をご紹介したいと思います。
(自分の知識や説明力に自信がないだけですが・・・。)

この記事で使用するメロディは・・・

カッコいいメロディがあって、そこにコードを付けていくというのが理想と言いますか、この記事をご覧になっている方が望まれていることかと思いますが、いきなり期待を裏切るようで申し訳ありません。

この記事ではものすごく簡単なメロディを使用してコードを付けてみます。そのメロディとは・・・
メロディ

、、、これがメロディですか???と突っ込まれてしまいそうですが、ここにコードを付けていきたいと思います。

理論的な説明ではなく音(譜面)で確認

と、その前に。私は譜面作成ソフトに「Finale PrintMusic 2014」を使用しています。この記事に掲載している譜面のコードの表記は「PrintMusic」に標準で用意されているコードネームとなります。

また、本来であれば上述のとおり、ディグリーネームや各コードの機能、ツーファイブやドミナントモーションの記号も記載すべきだと思うのですが、ここでは省かせていただきます。「PrintMusic」をもう少し使いこなせるようになったら、この記事に掲載している譜面を更新していきたいと考えています。
(アナログに戻って手書きの譜面になるかもしれません・・・。)

譜面は記事内の画像をクリックいただくことで、大きな画像が別ウィンドウで開きます。

なお、各譜面の音源を掲載いたしますが、音源データはmp3形式で、再生にはHTML5のaudio要素を使用していますので、HTML5ならびにmp3の再生をサポートするブラウザでこの記事をお読みください。

一応、メロディの音源を鳴らしてみます。

※再生されない場合には違うブラウザでお試しください。

コード付けを始めます
調性音楽①(ダイアトニック・コード)

まず、終止音(最後の音)が「C」で、その前の「B」を導音と解釈するのが一番シンプルだと思いますので、「C」を主音として考えてみます。ハ長調(Cメジャー)とハ短調(Cマイナー)がありますが、Cメジャーから。

ダイアトニックコード in C Major

一番簡単なコード進行は何でしょうか。私だったら「C一発」と答えます(笑
これってコード進行とは言えないのかもしれませんが。。。あえて3小節目3拍で「CM7」に書き換えました。

CP001.jpg

次に主要三和音を使用してみます。

CP002.jpg

ちょっとコード進行っぽくなったでしょうか。

さらに、1小節目と3小節目の「C」でメロディとルート(ベース音)が一緒だと味気ないので、このコード進行にオンコード(転回形)を使用してみます。

CP003.jpg

ちなみに転回形の使い方に関してはクラシック和声のバス課題をやってみると理解を深められるかもしれません。(私はそうでした。)

今度は代理コードを使用してみます。

CP004.jpg

「Am7」が「C」(トニック)の、「Dm7」が「FM7」(サブドミナント)の代理コードとなります。「Dm7/G」は「G7sus4」と考えていただければと思います。

代理コードで偽終止を使ったパターンです。

CP005.jpg

G7sus4→Am7が偽終止となります。(sus4コードなので厳密には偽終止と言わないのかもしれせんが・・・。)

ダイアトニックコード in C Minor

同じ要領でCマイナーを考えてみます。

CP006.jpg


CP007.jpg


CP008.jpg


CP009.jpg

ピカルディ終止 in C Minor

Cマイナーで以下のコード進行を作ってみます。

CP013.jpg

最後、メジャーキーで終わっていますが、これはバロック音楽でよく使用されていました。ピカルディが最初に始めたといわれており、「ピカルディの三度」や「ピカルディ終止」と呼ばれています。
(当時は教会音楽として曲が作られることが多かったため、救われるという意味を込めて長調で終わらせたという説も・・・。)

ダイアトニックコード in A Minor

せっかくなので(?)、平行調についても考えてみます。(メロディーが3度で曲が終わることはあまりないと思いますが・・・。)
Cメジャーの平行調はAマイナーですね。二つほど例を記載します。

CP010.jpg


CP011.jpg

調性音楽②(ノン・ダイアトニック・コード)

ここからノンダイアトニックコードを使用してみます。

同主短調からの借用 in C Major

同主短調から借用してきます。

CP012.jpg

Fm7~G7まで同主短調のコード進行となりますので、この部分をモーダルインターチェンジと呼ぶこともあるようです。

セカンダリー・ドミナント in C Major

セカンダリードミナントを使用してみます。

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C7がFM7に対して、A7がDm7に対してのセカンダリードミナントとなります。また、A7ではテンションの♯9thがメロディの「C」となります。なお、A7に関して譜面では「A7(♯5♯9)」となっていますが、「A7(♯9♭13)」という表記が「PrintMusic」には用意されていないため、この形で代用しています。

このセカンダリードミナントをツーファイブに分割してみます。

CP015.jpg

分割されたマイナー7thコードはリレイテッド2度マイナー7thと呼ばれることがあるようです。

Gm7でのメロディ音「C」はテンション11th、Em7(♭5)でのメロディ音「C」はテンション♭13thとなります。

ちなみにEm7にしなかったのは、5度(この場合は「B」)を弾いている場合にはメロディの「C」がアボイドノートになってしまうことと、次のA7がオルタード系のテンションを使用していることが理由です。

ここで初めて一つの音に対して複数のコードが付きました。

このコード進行で、ドミナントコードのいくつかを裏コードにしてみます。

CP016.jpg

ここではC7をG♭7に、G7をD♭7に置き換えました。ドミナントコードの特徴は3度と7度のトライトーンにあります。
この3度と7度を逆転させたドミナントコードが裏コードとなります。

G7の場合、3度が「B」、7度が「F」ですが、3度を「F」、7度を「B(C♭)」にしたドミナントコードはD♭7となり、これが裏コードになります。

ドミナントモーションは強進行が基本ですが、裏コードを使用することで半音下行のドミナントモーションも可能となります。加えて、ツーファイブも強進行が基本ですが、半音下行のツーファイブも可能となります。

エクステンデッド・ドミナント in C Major

エクステンデッドドミナントを使用してみます。
セカンダリードミナントはダイアトニックコードに対するドミナントですが、エクステンデッドドミナントは解決先がダイアトニックコードでない場合の名称となります。

CP017.jpg

ここではD7のみセカンダリードミナント、その他のドミナントコードはエクステンデッドドミナントとなります。(この調のドミナントであるG7も除きます。)

もちろん、このコード進行で裏コードを使用したりツーファイブに分割したりすることが可能です。ただ、付けるコードの構成音・テンションノートがメロディのアボイドノートにならないよう注意することが必要です。

CP018.jpg

最後の「G7-D♭7」はドミナントコード→裏コードの進行となります。

アッパー・ストラクチャー・トライアド in C Major

上記のコード進行で、テンションが多くなってきましたので、アッパーストラクチャートライアドでのボイシング例も一つ記載しておきます。

CP019.jpg

余談ですが、私はここで初めてCのコードを四和音のCM7にしました。避けてきた理由としては、メロディがC音ですので、CM7を使用した場合、この下にB音がくることとなり、♭9thの音程ができてしまうためです。

基本的にボイシングの際、

1.○M7のM7thとRoot
2.○7のRootとテンション♭9th
3.○m7(♭5)のテンション11thと♭5th

上記のケースを除き♭9thの音程は避けるべきだとされています。

ここではケース1に該当しますので、禁則ではないのですが、あまりいい響きではないなと感じたため使用してきませんでした。

三和音より四和音、四和音よりテンションコードの方が豊かな響きとなりますが、メロディにあわせて選択したいところですね。もちろん、あえてP.D.(Prime Dissonance)を作って鋭い(きつい?)響きにすることもありです。

セブン・サスフォー in C Major

ドミナントコードを使用した例の最後としてsus4の活用例をご紹介します。

CP020.jpg

シンプルですが、内声が動く(sus4が解決される)だけでも表現の幅が広がります。

ブルース系 in C Major

ドミナントコードの使用方法ではありませんが、ちょっとブルースっぽいコード進行を当てはめてみましょう。

CP021.jpg

変化和音 in C Major

ここでドミナントコードから離れまして、経過和音を使用してみます。
まずは変化和音から。

CP022.jpg

本当は「F-Faug-Dm」とつなげたかったのですが、Faugでメロディの「C」がアボイドノートになるので避けました。

パッシング・ディミニッシュ in C Major

次はパッシングディミニッシュを使用してみます。

CP023.jpg

これは上行系のパッシングディミニッシュです。(使用しているディミニッシュコードはすべてパッシングディミニッシュ。)

今度は下行系。

CP024.jpg

E♭dim7がパッシングディミニッシュとなります。

理論書等ではディミニッシュコードの分解といったことも記載されています。ディミニッシュコードは減3度の積み重ねですので、二つのトライトーンから構成されます。
C♯dim7で考えてみますと、「C♯」と「G」、「E」と「B♭」という二つのトライトーンがあります。

トライトーンと言えば、、、ドミナントコード!
前者を含むドミナントコードはA7とE♭7、後者を含むドミナントコードはC7とG♭7となります。(音楽理論を知っていると、異名同音の変換が楽になります♪)

更にこのドミナントコードをツーファイブに分けられるのですが、上記ドミナントコードに関して構成音を見ていただくと、元のディミニッシュコードにはすべて♭9thの音が含まれます。

逆の言い方をしますと、上記4つのドミナントコードに♭9thのテンションを加え、そのルート(根音)を省略したのが元のディミニッシュコードの構成音となります。

例としてA7(♭9)の構成音は下から「A」、「C♯」、「E」、「G」、「B♭」となり、ルートの「A」を外すとC♯dim7の構成音と同じになります。

よって、置き換えられるドミナントコードはテンション♭9thを含んだ形で使用されることが一般的で、且つツーファイブに分解するときにはマイナー7th(♭5)の形が使用されます。

C-C♯dim7│Dm7というコード進行があったとき、上記分解によりC♯dim7をドミナントコードに置き換えることができます。Dm7へのつながりを考えるとA7またはE♭7の使用が妥当と思われ、ツーファイブに分割すれば、それぞれ
C-Em7(♭5)-A7(♭9)│Dm7
C-B♭m7(♭5)-E♭7(♭9)│Dm7
という形への変換ができます。
※メロディによっても変換できる形が変わります。

オグジュアリー・ディミニッシュ in C Major

また、ディミニッシュコードにはオグジュアリーディミニッシュという使用方法もあり、各コードの前に文字通り補助的に置かれます。使用頻度の高いものとしてはトニックディミニッシュがあげられます。

CP025.jpg

Cdim7がトニックディミニッシュとなります。

ここで最初のCdim7を分解してみましょう。
構成音からB7、F7、D7、A♭7の4つのドミナントコードが候補にあがります。ここではB7を選択してみます。

CP026.jpg

雰囲気が少し変わりましたね。

あと、これはディミニッシュコードの使い方というよりアプローチ方法の一種と解釈される場合がありますが(もしくは違う解釈があるかもしれませんが)、そのコードの短3度下のディミニッシュコードを補助的に使用することがあります。その時、ルートは後続のコードのルート音となります。この記事で使用してるメロディですとアボイドノートとなってしまうため、メロディを変更します。

CP027.jpg

「A♭dim7/C」が該当のコードなのですが、このコード進行、どこかで聴いたことがありませんか?
そう! かの有名なフレデリック・ショパン作曲の『夜想曲第2番』やピョートル・チャイコフスキー作曲の『くるみ割り人形』の中の『花のワルツ』です。

上述の要領で分解してみるとなんてことはないのですが、A♭dim7はG7(♭9)の根音省略形ですよね。つまりCに対するドミナントとなり、それがペダルポイントでベース音が主音のまま維持されていることになります。

あと、ディミニッシュコードとは関係ありませんが、この譜例の最後の部分でsus4は3度に、テンション9thはルートに解決しています。

テンション・リゾルブという用語があるように、基本的にテンションはそのコード内、もしくは次のコードで解決されるのが一般的な使い方になるかと思いますが、あえて解決させない楽曲も存在します。テンションのみならずsus4で終わる曲もあるくらいですので・・・。

そういった曲がかっこいいと思う一方で、このように解決して終わる流れもきれいだなと思います。クラシックですと、一番最後に
Ⅰ - ⅣonⅠ - Ⅰ
Ⅰm - ⅣmonⅠ - Ⅰm
Ⅰ - ⅣmonⅠ - Ⅰ
といった終止形も見られますが、Ⅴ7の後にⅠ(Ⅰm)だけで終わるのと、上記の終止形がⅤ7の後に付くのでは違った印象になります。

コンスタント・ストラクチャー in C Major

経過和音のひとつにコンスタントストラクチャーという使い方があります。
クロマチックアプローチと似ている部分もあるのですが、同型のコードを半音、またはスケールに沿って順次進行させます。

このメロディではちょっとアボイドノートになってしまうのですが、

CP031.jpg

「A♭m7」が経過和音になります。
リズムを変えていますので一瞬の不協和音は気にならないかもしれませんが、もし四分音符単位でコードを配置するのであれば、この部分は素直に「A♭7」とするのが妥当かと思います。

クリシェ in C Major

また、経過和音ではありませんがクリシェという手法があります。

CP032.jpg

クリシェ in C Minor

短調でも例を記載します。

CP033.jpg

「Am7(♭5)」は「Cm6/A」と表記してもよいと思います。

コードの表記について

ちょっと話がそれますが、上記オグジュアリー・ディミニッシュのところで出てきた「A♭dim7/C」のようにコードネームだけで表すと、いったい何の機能なのかわからなくなってしまうこともあります。特にクラシック和声のコード(和音)を機能を考慮しないで表記してしまうと、わからなくなってしまいますね。

CP028-1.jpg

譜面ではテンションが抜けてしまっていますが、この「Am6(11)」って???
機能的には
CP028-2.jpg
と書いた方がわかりやすいですね。「Am6(11)」でセカンダリードミナント(ダブルドミナント)の転回形とは解釈し難いです。

クラシック特有(?)のコード

クラシック和声の話がちょっと出てきたところで、ポピュラーでも使用されることのある二つのコードを紹介します。どちらもマイナーキーで使用されます。

ナポリの6度 in C Minor

一つはナポリの6度と呼ばれる和音です。この記事のメロディではあわないのでちょっと変更します。

CP029.jpg

「D♭/F」がナポリの6度と呼ばれる和音です。サブドミナントの代理和音「Ddim」のルートが半音下がった形となり、第一転回形で使用されます。ポピュラーではこれを四和音とし、基本形のD♭M7がサブドミナントとして使用されることが多いようです。
(メジャーキーで借用和音としてのサブドミナントマイナーとしても使用されることがあります。)

ドリアの4度 in C Minor

もう一つはドリアの4度と呼ばれる和音です。マイナーキーではナチュラルマイナー、ハーモニックマイナー、メロディックマイナーの3つの音階があります。

メロディックマイナーの時には第六音がルートに対して長6度となります。Cマイナーの場合には第六音が「A♭」から「A」になるため、サブドミナントの「Fm」が「F」に変化します。

CP030.jpg

最初のF7がドリアの4度、3小節目のFm7が通常のサブドミナントです。ちなみに、これは4度(サブドミナント)の代理である2度の和音にも適用されます。Ⅱm7(♭5)がⅡm7に変化して使用されることがあります。

有名といいますか私が好きな曲の中では、映画「いそしぎ」のテーマ曲「The Shadow of Your Smile」でこのコードが使用されています。

キーがEマイナーの曲ですが、メロディの最初のところで、F♯m7-B7-Emというコード進行が見られます。Eナチュラルマイナーの第6音は「C」ですが、メロディもEメロディックマイナーの第6音である「C♯」となっており、とても印象的かつ効果的な使い方だなぁと思います。

旋法音楽(モード)

ここで一区切り。
ここまでは調性音楽をベースとしてコードを付けてきました。ここからはモード(旋法音楽)としてのコード付けを行ってみたいと思います。

軸音「C」(Cリディアン)

まず、軸音と旋法を変えない形を考えてみます。コンポジットモードなど複雑な旋法を除けば、「C」と「B」を含んだ旋法は限られてきます。もちろん

・Cイオニアン
・Dドリアン
・Eフリジアン
・Fリディアン
・Gミクソリディアン
・Aエオリアン
・Bロクリアン

はすべて当てはまりますが、これではちょっとつまらない(?)ですね。

モードのメロディは始まりの音と終わりの音が軸音になることが一般的ですので、これに倣って軸音は「C」。さらに「B」を含む旋法となるとCリディアンが考えられますね。

Cリディアンのスケールは、「C」、「D」、「E」、「F♯」、「G」、「A」、「B」です。
この旋法では「F♯」が特性音となります。

モードにおけるコード進行(モーダルハーモニー)の解釈はいろいろあるようですが、ここでは三和音をベースとして、1度の和音をプライマリーコード、特性音を含む和音をキャラクタリスティックコード、1度以外で軸音を含むコードをパッシングコードと分類します。

まず、各々のスケール音上にできる三和音は
「C」、「D」、「Em」、「F♯dim」、「G」、「Am」、「Bm」
となります。

プライマリーコードは「C」、
キャラクタリスティックコードは「D」、「Bm」、
パッシングコードは「Am」となります。
※ディミニッシュコードは基本アボイドコードとされます。

この記事で使用するメロディはモードのメロディとして適していないのですが、ちょっと強引に以下のようなコード付けをしてみます。なお、メロディが短いこともあり、Cリディアンであることを強く示すため、テンションを加えてみます。

CP034.jpg

譜面のコードと音が一部合っていませんが、「PrintMusic」に該当のコードがなかったためこの表記になっています。
C(♯11)-D7(9)│C(♯11)-D7(9)│Am7(11)-Bm7(11)│C6(9♯11)
が正しい表記となります。

モーダルとコーダルの融合

今度は旋法を変えず軸音を一部変えます。ここで軸音は「C」から変更されます。モーダルミュージックの原則(?)を破ってしまいましたので、コーダルとモーダルの融合っぽいコードを付けてみます。ここでも、メロディを一部変更します。

CP035.jpg

このコード進行もどこかで聴いたことがありませんか?
そうです、かの有名な教授(坂本龍一)作曲の『Merry Christmas Mr.Lawrence』に似ていますよね。

G♭リディアンとしてコード付けをしていますが、調性音楽のB♭マイナーと捉えることもできるかと思います。

同軸異旋(軸音「D」)

今度は軸音を変えず旋法を変えます。

CP036.jpg

1小節目、3小節目がDドリアン、2小節目、4小節目がDミクソリディアンとなっていますが、さすがに4小節のメロディだと効果が分かり難いですね。

マルチ・トニック・システム

また、旋法を変えず軸音を変えていく手法の発展形として、マルチトニックシステムというものがあります。(モードというより転調を繰り返す調性音楽ともいえます。)

12音をいくつかに等分割して曲を構成します。例えば4つに分割(4トニックシステム)するとしまして、
B♭│D♭│E│G
というように主音(キー)を変更させていくとします。

そしてここでは各々のキーのツーファイブ(Ⅱm7-Ⅴ7)を当てはめてみます。
またもメロディを少し変更させてください。

CP037.jpg

この4小節でターンバックして繰り返してみます。さすがに1小節ごとの転調はあまり例がないと思いますが・・・。

この形のコード進行と言いますか曲の構成で有名なのが、ジョン・コルトレーン作曲の『Giant Steps』だと思います。

マルチトニックシステムの延長と言いますか、同じような手法でコードユニットというものがありますが、これはむしろコード進行ありきでメロディを乗せていく手法になるかと思いますので、ここでは省きます。
※この記事の後半ではちょくちょくメロディ変えてしまい、主旨に反する内容となってしまっていますね。スミマセン。

終わりに・・・

という感じで、振り返ってみると結構ダラダラと書いてきてしまいましたが、同じメロディに対して、コードの付け方にはいろいろな可能性があることをご確認いただけたのであれば幸いです。

もちろん、この記事でご紹介したコード付けはほんの一例であり、もっともっと様々なコードの付け方が存在します。

加えて、この記事では音価の長いメロディにコードを付けましたが、メロディが複雑に動く場合などは、

・このコードであればどのスケールに当てはまるのか(当てはめられるのか)
・このコードであればどの音を非和声音として扱うのか(扱えるのか)

といったことを考慮する必要性も出てくるかと思います。

私は専門的な教育を受けたわけではないので、記事内の用語や説明内容が間違っていることもあるかと思います。よって、この記事はあくまでも参考程度にご覧いただき、詳細な内容は理論書や有識者の方(作曲家の方や先生)から学んでいただければと思います。
いろいろと学んでいくことで、作曲だけでなく、リハーモナイゼーションを楽しめるようになるかもしれませんね♫

【Written by JUN】


タグ:音楽理論
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