【ピアノ録り】本番前の最終リハーサルを終えて [制作日記]
前回の制作日記で最終版の楽譜と参考音源が出来上がったことを書きました。これを先生にお渡ししたのが11月6日。この時口頭での説明と、ちょっとした映像をお渡ししました。
その映像とは、参考音源と一緒にDAW上でプレイバックしている画面をキャプチャーしたものです。そして、プレイバック画面に映っているは曲のテンポマップ。ちゃんと参考音源に反映できなかった部分がありましたので、視覚的にもどう弾いていただきたいかということを把握していただきたいと思い作成しました。
残されたリハは11月15日の1時間、その一回だけです。とにかくできることはすべてしておきたい。その一心でした。先生には
と笑われてしまいましたが・・・苦笑。
そうしてむかえた11月15日。最後のリハーサルです。まずは通して弾いていただきます。
まだミスタッチが多く、レコーディングに臨める状態にはほど遠いものの、とりあえず、私が渡した参考音源に近い形で弾いてくださっています。しかも、全体的にテンポも速くなっており、間延びを懸念した部分に関しては、かなり解消されていました。
ただ、正直この仕上がり状態で「こうしてほしい、ああしてほしい」というのは難しいかなと思いました。
しかしながら、先生からは意外な言葉が。
と。
ここまできて、「もう大丈夫です」と引き下がることもできず(笑)、ここから細かい調整を行なっていきました。
・この音を長くとってほしい
・ここからの「accel.」はもっと早めにスピードを上げてほしい
・ここは、気持ち「rit.」してほしい
・この6連符の連続は、その音価というよりアルペジオ的に弾いてほしい
・この音はもっと思い切った大きな音がほしい
・フレーズの切れ目をスラー通りに解釈してほしい
などなど。
その中で、先生が弾き難そうにしているところがあったので、その理由を尋ねたところ、またも楽譜の記譜に問題があることが発覚。楽譜を修正すると申し出ましたが、
とのことで、私が当日持ち込む自分用、レコーディングエンジニアの方用の譜面のみ修正することになりました。
時間にして一時間強の最終リハーサル。部分部分に関しては、その時お伝えした内容を確実に反映して演奏してくださっています。
ただ、最後にもう一度通して弾いていただいたところ、曲の中盤から徐々に粗が目立ってきました。先生は「集中力との勝負」と仰っていましたが、私自身は、やはり「曲がつまらないのかなぁ」という後ろめたい気持ちがありました。
そしてリハ終了後、
と仰ってくださいました。
私自身、それを信じたい気持ちの反面、不安もありました。そしてその夜、レコーディングエンジニアの方へ最終確認の連絡をしました。エンジニアの方からも
とのお返事をいただき、不安は募りました。ただ、
と言っていただけたことが心強かったです。
いよいよレコーディング当日が迫ってきました。いやぁ、この何とも言えないそわそわした気分、初めて味わいます。私自身、当事者であって当事者でないような・・・、変な感覚。
これまで、同じピアノでも自分が演奏する側として発表会などの本番前日をむかえたことは何度かあります。それ以外にも、例えば受験、スポーツの試合など、いずれも自分がプレイヤーとしてむかえた本番前日は何度かあります。
今回、確かに楽曲の原盤を作るという意味では私は当事者です。でも、演奏をしてくださるのは先生、録音してくださるのはレコーディングエンジニアの方です。
・先生はミスなく演奏してくださるかなぁ
・機材トラブルなく録音できるかなぁ
といった不安が当然あります。
でも、これらは私自身の力ではどうにもなりません。あとは、当日の現場で現実を直視し、決められた時間内にOKを出すというある意味一番難しいジャッジの役割を担うのみ。
想定しうる当日の状況を可能な範囲でイメージし、それにどう対処するのかを考え、このレコーディングに携わるすべての人ができる限り納得して、そして笑顔でレコーディングを終えられることを願いつつ本番に臨みたいと思います。
後日公開予定のPART5に続く。→こちら
【追記:2015年12月13日】
無事録音を終え、音源を公開しました。
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