緊張の中、ピアノで初めての歌伴奏|伴奏のつけ方と練習のコツ [JUNの独り言]
2016年2月6日。終わった瞬間、何とも言えない充実感を得ることができました。舞台から降りてすぐ、ボーカルを務めてくれたAさんと力強く握手をしました。ピアノ初心者の私が初めての歌伴奏。何とかやり切りました!
遡ること一ヶ月前、現職の同僚を通じて、元上司の結婚式二次会の案内をいただきました。その日は空いていましたし、出席の返事はすぐにしたのですが、もう一つ、そこにはオプション(?)がついていました。
二次会のオプション。ご想像のとおり「出し物=余興」です。しかも「ピアノを弾いてほしい」とのこと。
以前の記事でも書きましたが、世間一般の方々の“ピアノが弾ける”とは、「ショパンが弾けます」といった感じでハードルが高くなる傾向にあります。ですので、私は「ピアノを習っている」とは公言していますが、「ピアノを弾ける」とは恐れ多くて口に出すことができません。
ただ、大変お世話になった元上司ですし、仲の良い幹事からの依頼を断ることもためらわれ、引き受けてしまいました。ちょうど二次会の2週間前にピアノ教室の発表会が予定されていたので、そこで弾く曲でも弾けばいいかなぁと思いまして・・・。
そんな折、同じ会社の他部署で働いているAさんから連絡が来ます。
こんなやり取りでした。
実はAさん、サウンド制作部門に所属している、音楽のプロフェッショナル。しかも、ボイストレーニングの教室にも通っている強者です!
これは心強いとお願いすることにしました。
ただ、“楽曲はAさんが決める”という条件付きでした。難しい曲だったらどうしようとビクビクしている中、提示された楽曲は、「海の声」。
楽曲の構成もコードもシンプルなので、これならいけるかもと了承しました。(了承というより、この条件を飲まなければピアノソロになってしまいますので・・・苦笑。)
原曲も、イントロの部分など(左手が)10度の伴奏型になっており、伴奏の定番パターンで行けそうだと思いましたが、コードの確認等も含め、市販の楽譜があれば見てみたいと思い購入したのがこちら。
http://www.at-elise.com/elise/JPDPFA04587/
これで練習してみようと、、、ちょっと待った。YouTubeの公式動画で確認したところ、この曲、桐谷健太さんが歌っていますよね。Aさんは女性です。
はい、来ました、移調の依頼(泣
と言うことで、PrintMusicで譜面を起こすところから始まります。これが、ちょうど本番一ヶ月前の1月6日。
本番までの一ヶ月、一週間に一回合同練習をしようと決めまして、最初に合わせたのが1月15日。とにかく私がまともに弾けなければ練習になりませんので、1月9日、10日、11日の三連休はアパートに閉じこもって必死に練習・・・。
11日にポピュラー・ジャズピアノのレッスンがあったので、先生にも演奏を聞いてもらいつつ、アドバイスをいただきました。
ちなみに、過去の記事で紹介しているかと思いますが、こちらの先生、伴奏のプロです!
ご自身でもソロより伴奏の方が向いている仰っている通り、何度が演奏会に足を運びましたが、ソリストに合わせた伴奏は安定感抜群です。その時に二つのアドバイスをいただきました。
一つ目は、伴奏をする上でのコツ。それは、
というものでした。後々、このアドバイスに助けられることになります。
二つ目は一人で練習するときのコツ。
というものでした。
これには二つの意味があるとのことで、一つはリズム感というかテンポキープのため。もう一つが、歌い手と合わせる緊張感を疑似的に作るため。
この後者の方が意外と大切なんです。というのは、ピアノソロの場合、最悪のケースではあるものの、途中で間違っても一旦止まったり、弾き直すことができます。
でも、歌伴奏の場合、私が演奏を止めたら歌い手は困ってしまいます。ですので、やり直しがきかない状態を常に作っておきます。こうすることで、間違えた時のリカバリーであったり、自分のペースではなく歌い手(ここではメトロノーム)に合わせて弾くことに慣れておく必要があるとのことでした。
“ここでタメを作りたい”とか“ここでrit.したい”とかは、これができた後の話になると先生から指導を受けました。
さて、1月15日。リハスタを1時間借りて最初の合同練習。まずはどういう伴奏になるかを私一人で弾いていきます。
ピアノのレッスン、とりわけクラシックピアノのレッスンで、毎回ある程度の緊張感の中、先生の前で弾いていることもあり、Aさんの前で演奏しても手が震えません。Aさんとは以前一緒に仕事をした仲間ということを差し引いても、私にとっては大収穫です!
Aさんの感想は「思っていたより全然弾けている!」とのことで、本格的な練習に入っていきます。
ここからが重要と言うか面白いところなのですが、まず、私が参考にした楽譜は弾き語りを想定したピアノアレンジです。で、このとおり弾いていくと、Aさんはタイミングがとりにくいんです。
もちろん、私のリズム感の悪さもありますが(苦笑)、Aさん自身が演奏しているわけではないので、細かい音符が続くと、ピアノの演奏としては華があっても、歌い手としては歌いにくいようです。
また、この楽譜は他のパート(三味線やストリングス)のフレーズや、ベースもベースならではの演奏(スライドなど)を取り入れてピアノ伴奏のアレンジが施されていたのですが、これもそのまま弾くと歌いにくいとのこと。
これが弾き語りとの違いなのでしょうか・・・。ですので、ピアノ初心者の伴奏の付け方のコツとしては、
・細かいフレーズ等はボーカルに動きがない場所や間奏で使用すること
・左手のベース、右手のコードの押さえ方は、歌い手が音程を取りやすい音を選択すること
といった内容が挙げられるかと思います。
特に左手のベースはルートと5度くらいでちょうどいいです。右手のコードは、メロディの音をトップノートにもってきたり、フレーズを弾く場合には、合いの手を入れる、またはハモるといった形が歌いやすいようです。
私としては、この日の変更で、購入した楽譜よりだいぶシンプルになり、気分的にも楽になりました。一回目にしては上出来。当日入り前のリハも含めればあと3回合わせられる。これはいけるんじゃないかって気になりました。
ところが次回1月23日の練習が直前で都合が悪くなりキャンセル。その次の合同練習は1月31日。この直前にも私はポピュラー・ジャズピアノのレッスンがあり、そこでもう一つ伴奏のコツを先生から伝授されました。
これはリズム音痴な私だからこそのアドバイスなのですが、
です。
今回はボーカル+ピアノでリズム隊がいません。ということは、ピアノの私がリズムを作っていかなければいけません。先生に聞いていただいた時、多少突っ込み気味のところがありましたので、「いちとお、 にいとお、さんとお、しいとお」と、この「とお」をちゃんと意識して演奏してくださいと指導を受けました。
一方で、音楽に気持ちいい揺らぎ(テンポの揺れ)を作るのはボーカル。メトロノームなどありませんので、テンポルバートです。よって、
ということも指導を受けました。
そしていよいよ練習。かなりいい感じで仕上がってきました!
ところが、Aさんが「一回録音してみましょう」と録音を始めると、手、手、手が・・・演奏中に震えました。
しかもお互いに一番緊張するところが曲頭にあります。私は6小節の前奏、Aさんは前奏終わりから4小節のアカペラ、各々ソロの箇所です。録音するだけでこれだけ緊張するとなると、本番は一体どうなってしまうんだ?
とはいえ、ここまで来たらとにかく練習あるのみ。部分練習を重ね、この日2時間の練習を終えました。
あとは当日入り前のリハを残して、、、と、ここでハプニングが。二次会の幹事さんから「生ピアノではなく電子ピアノになりました」との連絡が。加えて「マイクにエコーがかからないかもしれません」とも。。。
ということで、当日12時からのリハは電子ピアノの部屋を取って練習。ボーカルのエフェクトも切りました。
その一回目、もう完璧な出来でした!
二人して、これを本番に取っておきたかったーーーって嘆いたくらいです(笑
その後は、私に明らかな緊張が見て取れ、逆に不安を残す最後のリハとなりました。
16時過ぎ、いよいよ会場入り。本番の設備で本当の最終リハ。ここでもハプニング。演奏云々ではなく、リハ中に新郎新婦が会場に。。。思いっきり聞かれてしまいました(苦笑
そして17時に開会。久しぶりにお会いする方々との会話も上の空で緊張する私に対し、Aさんには緊張している素振りがありません。
やっぱり女性の方が肝が据わっているんですかね。。。いや、私が小心者(ノミの心臓)なだけなんでしょうけど(苦笑
そして17時半過ぎ、いよいよ出番です。緊張はしました。でも舞い上がることはなかったんです。数か所ミスタッチはありましたが、大方理想通りの演奏ができました。
何より、Aさんから「気持ちよく歌えた」と言ってもらえたことが伴奏者冥利に尽きます。
この日、前職の社長で私自身大変お世話になり尊敬してやまない田口さんも出席されていて、なんと動画を撮ってくださったんです。
※田口さんのHP:h-design【個と場(COtoBA)のデザイナー】
※写真も撮っていただきました。
後日、その動画をお送りいただき確認してみたところ、自分が思っていた以上にAさんのことを見ているんですよね。もっとガチガチで鍵盤ばかり見ていると思っていたのですが、曲がりなりにもAさんの歌を聴いて伴奏しようという姿勢がでていたのかも・・・。(ちなみに本番は暗譜です。)
でも、不必要に体が揺れていて、これはクラシックピアノの先生に怒られるなぁと思いました(苦笑
そんなこんなで、初めての歌伴奏をやり終えた私ですが、音楽を始めたきっかけはDTMでした。30歳を過ぎてから、自分で演奏したいと思いピアノを習い始めました。そしてこの日、人と一緒に演奏するという楽しさを身を以て実感しました。
実はこの日の新郎ですが、MASAと私共通の元上司でして、二次会にはMASAも出席していたんです(笑
後日、「いつかMASAにも加わってもらって、一緒にライブをしたいね~」なんて話もしました。
最初は一人で始めた音楽。MASAには楽曲制作のパートナーとして選んでもらい、Aさんには伴奏者として選んでもらいました。そして、このような音楽活動を素敵だと田口さんに評価いただきました。
私にとって、交流の輪が広がるきっかけでもあり、また、自分の居場所でもある音楽活動。関わってくださるみんなに感謝して、これからも続けていきたい思います。
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