サンプリング素材を使ったボーカル曲を制作 [制作日記]
昨年(2015年)1月に結成したHIRNES。昨年一年間で4曲を制作しました。三ヶ月に1曲のペースですね。趣味にしては上出来だと思っています(笑
さてさて、昨年最後に配信した曲がピアノソロでしたが、実際の4曲目は今回紹介する楽曲になる予定でした
ピアノのレコーディングやら、この曲特有の課題があったためリリースの順序が逆になってしまいましたが、やっと公開するに至りましたので、制作日記を書いていきたいと思います。
MASAから最初にラフをもらったのが、昨年の10月17日。1曲目に近いオシャレ系のハウスで行こうとMASAは考えていまして、ラフを聴いてみたところ、複雑なコード進行でその雰囲気が十分に感じられました。
また、このラフでは大きく二部構成になっていて、前半は上述のとおりかなり複雑なコード進行。後半は、2コードでシンプルにまとまっていました。
MASAのイメージでは音色をかなりしぼっていきたいとのことで、加えて、この段階ではメインとなるフレーズがなかったため、声ネタも入れてみたいとの提案がありました。
私としては、前半の複雑な部分はラップが合うのではないかなぁと思ったため、そのことを提案してみたところ、MASAもこれに賛同。また、後半の2コードも、これの展開案を私の方で考えてみることになりました。
その一週間後、コード進行の展開案とともに、私の方でいくつかボーカル、ならびにラップのネタをMASAに伝えました。
ボーカルとラップのネタに関してはサンプリング素材を使うことにしまして、探し方としては有名なクリプトン・フューチャー・メディア株式会社の『SONICWIRE』でサンプルパックをチェックしていきました。
『SONICWIRE』の中の“詳細な検索”機能を利用して、“Vocal/Choir”で絞り込んで検索。いくつかのサンプルパックでは試聴ができますので、それらを確認し、これらをあわせたらどうなるかなぁという感じでMASAに共有しました。
とは言っても、実際に楽曲に組み込んでみないとわからない部分もあるため、私がとった行動というと、、、ハイ、それらのサンプルを真似て歌ってみました。そしてその歌をMASAのラフに合わせてみたのです。
ラップなんてまともに出来ませんし、歌だってまともに歌えません。えっ? 女性ボーカルの場合はどうするのか?
もちろん歌いますよ1オクターブ下げて。そしてフォルマント変更して女性の声にするのです・・・笑。
そのデータ、まだ手元に残っているのですが、何度聞いても気持ち悪い(苦笑
でも、寛大なMASAは「良いですね~」と言ってくれました。というより、女性の声になっているところがツボだったのかも・・・笑。
このやりとりの中で、一旦は自分たちで歌詞を考えて自分たちで歌ってみようということになったのですが、せっかくMASAが歌詞を考えてくれたにも関わらず、私が良いメロディを作れずに挫折。結局、サンプルパックを購入することになりました。
さて、実際に購入するときのネタの探し方ですが、
・作っている楽曲のキーと合っているか?
この2点が大切になると思います。
今はプラグイン等の性能が上がり、タイムストレッチやピッチシフトなど、原音の音質を損なうことなく変更が可能になりましたが、それでもやはり限界はあります。
ラップに関しては、キーはほとんど気にせずBPM(テンポ)だけで選びましたが、ボーカルに関しては、試聴できるサンプルを聞きつつ、製品の『収録ファイル一覧』に作っている楽曲と同じキーのファイルがあるかどうかを確認していきました。
具体的には、ボーカルの部分のキーがD♭メジャーでしたので、『収録ファイル一覧』にD♭メジャー、または平行調のB♭マイナーのファイルがあるかどうかをチェックしました。
そして、祈るような気持ちで(笑)、MASAに購入をお願いしました。結果、、、予想以上に使えるネタがあるとMASAは喜んでいました。
しかも、「これを使いたい」と試聴していたファイルは実はサビ部分だけでして、製品版にはフルコーラスが収録されていました。それではと、このフルコーラスを使うことにしたわけです。
ただ、ボーカルが入る部分でサビ以外のコード進行を決めていませんでしたので、MASAと私で各々アイデアを出し合い、検討した結果、MASAが作ったコード進行を採用。これで楽曲の構成が出来上がりました。(私のコード進行バージョンはこの記事の最後に掲載しますので、比較してみてください。同じメロディでも付けるコードによってイメージがかなり変わることをご確認いただけると思います。)
そして、11月下旬からミックスを始めたのですが、これが難航。。。その理由というのが、MASAが作ったラフの段階で、キックの信号をトリガーとしたサイドチェインのコンプがかかっていたんです。
また、ボーカルに関してもMASAの方でエフェクトをかけていたのですが、これらを私の環境(Pro Tools上)で再現することがなかなかできなくて。。。
何度かチャレンジしてみたんですけど、どうにもMASAのイメージ通りに仕上げることができませんでした。
さてどうしたものか。1ヶ月悩んだ挙句、わたくし、とうとうミックスを投げ出しました・・・orz。
MASAにそれを伝えたところ、MASAのミックスの音圧調整をしてこのプロジェクトは完了しようということになりました。これが昨年大晦日。
ところが何となしに読んでいたサンレコの2009年3月号に、テイ・トウワさんのアルバムに関する記事があったんです。
ミックスを担当された松田直さんとのやり取りが掲載されていて、そこには、アーティストの意向をミックスに反映させるために、松田直さんがテイ・トウワさんと全く同じ環境(Digital Performer)を揃えられたといった内容が書かれていたのです。
プロでもこういうことがあるんだなぁと知って、もう少し頑張ってみようという気持ちになりました。
そこで、MASAにお願いして、サイドチェインコンプがかかった状態での各パートのパラデータを送ってもらいました。
このデータをもらったおかげで、私の環境(Pro Tools上)でどのようなサイドチェインコンプの設定をすればいいかが見えてきたのです。
もちろん、MASAからもらったサイドチェインコンプ有りのデータをそのまま使用できる部分は単純に差し替えのみ。それでもうまくいかないパートは、MASAのデータと似た感じになるようコンプの設定を詰めていきました。
そしてMASAとのやり取りで微調整を行ない、今年の1月30日、マスターデータが出来上がりました! 楽曲名は『Together』です。
ダンス系のジャンルの場合、この楽曲のようにミックス要素(サイドチェインの処理など)がアレンジの一部になることがあるため、今後のやり取りのためにもとてもいい経験になりました。
MASAさん、途中で一回投げ出してしまってごめんなさい。
m(_ _)m
※別コード進行バージョン。
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