複数人での曲作り(音楽制作)はうまくいかない?音楽性の違いが与える影響は? [HIRNES日記]
プロフィールのところでも少し触れましたが、MASAと私は音楽性が違うと言いますか、音楽的なバックボーンが異なります。
音楽への入り口という部分では、MASAは最初から作曲(楽曲制作)を目的で始めたのに対し、私は着メロやカラオケのMIDIデータ制作(耳コピー)が音楽を始めたきっかけでした。
また、ジャンル的にも、MASAがダンスミュージックやアンビエント音楽(環境音楽)を基本としているのに対し、私はポピュラー音楽を基本としています。
HIRNESの中の役割でも、楽曲制作に関しては九割以上がMASAの担当で、私のメイン担当はミックスです。
では、私の音楽性がHIRNESの楽曲に全く入っていないのかというと、、、実は入っていたことに気付きました。
何だか他人事のような書き方をしていますが、実際、気付いたのは最近でして、ちょっとしたことがきっかけでした。
ゴールデンウィーク中にMASAとSkypeで話す機会があったのですが、HIRNESの活動開始前にMASAが作った曲で未発表の良い曲があるので、それらを公開しようということになりました。
ただ、MASAに探してもらったものの当時のプロジェクトデータは見つからず、マスタリング済みの2Mixしか残っていませんでした。それでも、その2Mixのバランスが良かったので、私の方でちょっとしたリマスタリングを行なって公開することにしました。
ちなみに、私はミックスはおろか、マスタリングなんてまともに出来る能力はありませんので、リマスタリングによってMASAが作った原曲のイメージを損ねている部分もありますが、その点を考慮してお聞きいただければと思います。
m(_ _)m
アンビエント系の楽曲ですね。私が作ろうと思っても絶対に無理なジャンルです。。。
ダンス系の楽曲ですね。ある一つのループを基本としてそれを展開していく。この楽曲も私が作ろうと思っても無理なジャンルです。。。
MASAの楽曲としては珍しく(?)生系の音を中心に構成されていますね。ただ、展開の仕方がポピュラー音楽とは異なります。ダンス系というよりプログレ系といった感じでしょうか。この楽曲も私が作ろうと思っても無理なジャンルです。。。
この曲もダンス系というよりはジャジーな感じですね。ただ、楽曲の構成としては一つのループ(コード進行)を繰り返しながら変化をつけて展開していく形です。この楽曲も私が作ろうと思っても無理なジャンルです。。。
以上の4曲がMASAのオリジナル曲です。
・・・、4曲ともすべて私が作れないジャンルの楽曲でしたね(苦笑。
さて、HIRNESを結成してからこれまでに6曲配信しましたが(うち1曲は私が作曲したピアノソロ)、これらと聴き比べてみると、、、ちょっと傾向が違うと私は感じました。やっぱり、私の音楽性が良くも悪くも見え隠れするなぁと・・・。
ちなみに、“私の音楽性”が表れる部分は“コード進行”だと思ってください。
ここから私なりの分析(?)を書いていきますが、楽曲に関してはページの読み込みが遅くなるのを防ぐために埋め込みからSoundCloudへのリンクに変更します。
HIRNESとして一番最初に作った曲です。この曲は上手く融合しているなぁと思います。テンションを多用したボイシングと、一度(主和音)に解決することを目的としていないコード進行(ターンバックのような感じです。)が楽曲の雰囲気にマッチしたのかもしれませんね。
https://soundcloud.com/duo_hirnes/changes-in-body
この曲は私の音楽性が悪影響を与えてしまっています。楽曲の構成をJ-POPのようにしようと私がコード進行をかなり固まった形で提示してしまいました。
結果、MASAを惑わせてしまった挙句、アレンジの方向性も定まらず、、、といった感じになってしまいました。
https://soundcloud.com/duo_hirnes/discogravity
この曲はMASAのオリジナル曲に近い雰囲気ですよね。「Discogravity」での失敗を糧に、楽曲構成はすべてMASAにお任せしました。(私が)アレンジで加わったところもありません。
HIRNESの中で一番再生数が多く、MASAの良さが一番わかる楽曲だと思います。
一方私はと言いますと、初めてキックの信号をトリガーとしたサイドチェインコンプを使用するなど、ダンス系のミックスを学べた曲でした。いま聴き返しても、この曲が一番ダンス系らしいミックスができているのではないかと思っています。
https://soundcloud.com/duo_hirnes/the-metallic-dancer
HIRNESとして初めての歌モノです。と言いましても、サンプリング素材を使っていますが・・・。
この曲も楽曲構成はすべてMASAにお任せしました。特に前半のラップの部分は、一般的なポピュラー音楽にはない構成(コード進行)になっています。
ただ、後半の歌の部分に関しては、実は私の音楽性がちょっと悪影響を与えてしまっているんですよね。実はラフの段階でこのコード進行にMASAは違和感があったのです。
コード進行自体を私が提案したわけではないのですが、ボーカル素材のサンプルを探していくうちに、ぴったり合うものが見つかったため、このコード進行のまま楽曲を仕上げることになりました。ボーカル素材先行ではなく、コード進行を含めたアレンジの方を先行していたら、また違った雰囲気になったのかもしれません。
https://soundcloud.com/duo_hirnes/together
この曲は上手く融合したケースですね。MASAがボサノヴァ系の曲(ボッサハウス)を作りたいと思っていたところに、私がいくつかボサノヴァの典型というか私自身が好きなコード進行を提案しました。
「Changes In Body」と違うところは、私が考えたコード進行を使うのではなく、いくつかのパターンの中からMASAの方で構成し直して曲を組み立てていったことです。
https://soundcloud.com/duo_hirnes/fallingoriginal-masterfree-download
HIRNESは二人組のユニットですが、二人で楽曲を作るとその力は二倍になるのかと言えば、必ずしもそうではないというのが約一年半活動してきた実感です。二人の力が時には足し算、時には掛け算にもなるんだなぁと感じています。
足し算というところでは、例えば曲作りでMASAが行き詰まるとします。その時に、私の方からコード進行であったり、参考曲であったり、そういった情報を提案することで前に進むことがあります。
端的に言えばネタですよね。MASAは一つのループ(ネタ)から膨らませていくのがすごく上手です。なので、イメージに合致する(もしくは近しい)ループが出来上がると、行き詰っていたことがウソのように一気に曲作りが進みます。
また掛け算というところでは、上記の「Metallic Love」などの場合、ある程度ミックスでの音作りも見越してトラックが作られていましたが、私の方で良いミックスができると、元のトラックの数倍という感じの仕上がりになったりしました。
一方で、「Discogravity」のように、私の方がマイナスの提案をしてしまうと、MASAの良いところからの引き算にはならず、掛け算で楽曲自体もマイナスになってしまうといった結果に陥ることもあります。
もちろん、無意味なもの(ゼロ)を提案してしまうと、それに固執する限りは行き詰り(ゼロになり)、また一から作り直しなんてことにもなってしまいます。
本当にフィフティーフィフティーのアイデア出しで、掛け合わせて倍以上の仕上がりとなる楽曲を制作するには、完璧とはいかないまでも相手の作曲ドメインのことをある程度理解する必要があると実感しました。
私は理論をかじったが故に“構成をかっちり決めて”曲を作っていくことに固執する部分があります。上記の楽曲を聴き比べていただくとお分かりになると思いますが、それがMASAの楽曲制作の幅を狭めてしまい、MASA本来の良さを打ち消してしまっている部分があるのかなぁと感じるところもあります。
私たち(HIRNES)の場合はDTMでの音楽制作ですが、例えばこれがバンドであれば、作曲(メロディ+コード)を誰か一人が担当したとしても、アレンジの段階で
・メロディがロングトーンの時にサビのメロディを基本としたリフレイン的なフレーズをピアノで弾いてくれないかな
・サビ前はカッコいいドラムのフィルを頼むよ
・大サビ前で一旦落ち着くところは、他の楽器が演奏しないのメロディアスなベースラインを弾いてほしいな
といった感じで、各楽器を熟知している奏者に委ねるといったことができるのかもしれませんね。
なんだかオチのない記事になってしまいましたが、私たちの場合は楽曲のクオリティ云々以上に、音楽活動に張りが生まれていることが、一緒に制作している一番の利点なのかもしれません。特に私は、MASAに誘われなければ音楽活動をしていなかったと思いますので・・・。
(^^;
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