視覚で音圧を測る?(ラウドネスメーター) [音圧について]
音圧上げをテーマとした記事のパート9です。
「Loudness War」(音圧戦争)が始まって数年、海外ではこの音圧戦争が悪影響を与えているとして、適正な音圧に戻そうという動きがありました。以下のサイトなどは有名です。
http://www.pleasurizemusic.com/
このサイトで配布されていた「TT DYNAMIC RANGE METER」というプラグインは、音圧の目安となるダイナミックレンジ(DR)、ならびにRMSを計測する優れたものでした。
現在は配布されていませんが、「brainworx bx_meter」という後継プラグインが販売されています。(私も購入して使用しております。)
上述のサイトによると、
1983年:DR14
1991年:DR12
1998年:DR9
2003年:DR6
2008年:DR4
というように、どんどんとダイナミックレンジが縮まり、音圧が高くなっていると分析されています。
正確なことはわかりませんが、RMSの値はPeakを0dbとした範囲でのDR値をマイナス表記しているようです。例えばPeakが0db時にDR6であればRMS=-6、Peakが-6dbの時にDR9であればRMS=-15といった感じです。
ではいくつかの市販楽曲(J-POP)をこのプラグインで見てみましょう。
※原盤権者の許諾を得ていない為、無音ですがご了承ください。また楽曲名の公開も差し控えさせていただきます。
当然ジャンルによってかなりの差が出ますので、一応女性ボーカルのミドルテンポの楽曲という範囲で統一しています。
・2001年発売のJ-POPSは、サビでRMSが-7~-6程度。
・2003年発売のJ-POPSは、サビでRMSが-6~-5程度。
・2006年発売のJ-POPSは、サビでRMSが-6~-5程度。
・2008年発売のJ-POPSは、サビでRMSが-6~-4程度。
・2012年発売のJ-POPSは、サビでRMSが-4程度。ただしAメロなどでもRMSが-7より下がることはありません。
こんな感じで、海外で始まったとされる音圧戦争ですが、日本でも2001年時点でDR6くらいの音圧にはなっているのですね。そして近年でも音圧の高い楽曲が多いようです。
上述のとおりジャンルによって大きく異なりますが、この現状を考えると、書籍等に書かれている、「楽曲の中の音が一番大きな場所でRMSが-8になるように調整」では、音圧が低いと言わざるを得ないのかもしれません。
ということで、私個人としては、楽曲で盛り上がる箇所のRMSが安定して-7~-5を推移するように調整できたとき、うまく音圧上げができたと捉えるようにしています。(当然、意識的に音圧を上げている市販音源には全然敵いません。)
【一連の記事へのリンク】
☞ パート1 - 頑なにMIDI
☞ パート2 - 音圧との出会い?
☞ パート3 - 「Loudness war」(音圧戦争)って?
☞ パート4 - 無謀にもハードウェアから
☞ パート5 - いよいよソフトウェア
☞ パート6 - 海苔波形を目指す
☞ パート7 - 結局はミックスなの?
☞ パート8 - ミックスで変化したこと(リファレンスCDの活用)
☞ パート9 - 視覚で音圧を測る?(ラウドネスメーター) ←本記事
☞ パート10 - 【スピーカーで確認】ヘッドホンとの違いは?
コメント 0